「冷凍林檎の約束」
小さい頃から水遊びが好きだった息子のモーゼ。最近、冷凍実験に興味を持ち、何でも冷凍庫に入れるので、母はちょっと困っている。先日、餃子作りを手伝いたいと言い出したモーゼだが、何個か作ったら飽きたようで、餃子の皮を一枚手に取り、コネコネしてフィギュアを作り始めた。翌日、冷凍庫の中にフィギュアが見つからず「ママ、捨てた?」と聞かれたので「邪魔になるから捨てた。」と言うと「せっかく作って、楽しみにしてたのに・・・」とガッカリしていた。ちょっと可哀想だと思ったが、冷凍庫の中が彼の玩具でいっぱいになるのは困る。
「葡萄を凍らせると美味しくなる」という新発見は良かったが、何本ものバナナを犠牲にして食べられなくするのは止めて欲しい。「これで釘が打てそうだね!」と言うアイディアや「どうして色が変わるんだろう?」という探究心は褒めてあげたいが。
先日、馬に会いに行くつもりで林檎を一つ持ち出し、車に乗り込んだモーゼ。急遽予定変更になってステーブルに辿り着けなくなったが、車の中で林檎を揉み揉みして愛着が沸いたのか、帰宅して冷凍庫に入れた。翌日、カチカチになった冷凍林檎を見て、満足そうな顔。「ママ、これ捨てないでよ!」と釘を刺された。「どうするの?」と聞くと「分からないけど、とっておきたい。」と言う。「絶対に捨てないって約束して!ママとボクの信頼関係は、この冷凍林檎にかかっていると思っても過言じゃない。」とまで言い出すモーゼに辟易した母は「林檎一個だけ」という条件で承諾した。母と息子の「冷凍林檎の約束」における信頼関係。
その後、ゴム手袋に水を入れて凍らせようとしたところを発見して阻止したが、林檎は、今も冷凍庫の中。いつまで置いておくのかは、誰にも分からない。モーゼが林檎の存在を忘れて無関心になった時か、停電になって溶け出した時か。神のみぞ知る。
完
久しぶりに
ショートストーリーが書きたくなりました
ノンフィクションです(笑)
サブログでは、何でもアリで
近況報告したり
好きな事を呟いたり
エッセイ書いたり
気まぐれに楽しもうと思います
ハチャメチャな Read More ですが
いつも読んでくださる貴重な皆様に感謝☆